2016/04/21

十角館の殺人:読了

綾辻行人のデビュー作である。

邦人作家作品への偏見を払拭し始めた父ちゃんにはちょうどいいミステリかと思ったのだが・・・


ネタバレになるかもしれないので未読の方は注意(っても古典の域ですが)

解説寄稿者が「素人が本格ミステリにイチャモンつけるんじゃねぇ~よ!」と吠えています。
作者本人でもないのに「イチャモンつけ処満載です」って宣言してるようなもんじゃね~の?

古典、王道とでも言うのだろうか?広義での密室(孤島:連絡遮断)の奇天烈舞台(ヘンな建物とか・・・)で起こる殺人事件です。
冒頭からミステリ小説の蘊蓄をミステリ小説の登場人物が語り出す!これは挑戦状なのか?はたまた溢れんばかりの自信の成せる業なのか!?
登場人物にミステリ作家のあだ名をつける等 嫌でもコチラの期待は高まります。

若干の「古さ」は否めないものの作品の発表時期自体が古いのでソコは承知の上です。
犯人の独白が始まるまでは横溝正史の小説を読んでいる感覚でした(ちな、横溝作品は(古本屋で)棚買いして読みまくったッス)

面白い、確かに面白かったのだが諸手を上げて褒め称えるとまでは行かなかったかなぁ~
各々の伏線が単一の事象の為の伏線でしかないのが今現在これを読むにあたってはチト弱いと感じざるを得ない。
“ミステリ作家のあだ名”シークェンスにはまんまと騙されたものの、この“あだ名”伏線に痺れるミステリ好きにはモロに“伏線ですよ”と宣言されているようなモノなので最低でももう一捻り欲しかったところだ。

犯行動機が薄い(弱い)
執筆当時は十分だったのかもしれないが、今読むには動機の薄さは否めない、ま、コレばっかりはどうしようもありませんが・・・

最後のドンデン?
プロローグを読み返したくなる事は必至ではあるが、正直“蛇足”にしか感じられない・・・
トリック染みてはいるが本編におおよそ関係のない印象しか受けなかった。
いや、十分に絡んではいるのだが、ここにオチをつけるにはこのアイテム、事象の読者への吸引力が足りないと感じました。

古さもあってか、少し消化不良でした(汗;

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